不育症外来
不育症(習慣流産)とは?
子どもに恵まれない=不妊症と考えがちですが、 不育症と不妊症は全く別のものであり、検査も原因も治療法も異なります。
不育症(習慣流産)とは、妊娠はするものの、何度も流産をしてしまうことです。
不育症の定義は未だ明確には定まっていませんが、一般的な目安は下記のようになります。
- 習慣性流産(3回以上の流産)
- 妊娠12週未満の早期流産が2回以上あった場合
- 中後期の胎児死亡や流死産が1回以上あった場合
不育症の原因
流産の原因の約80%は胎児の染色体異常といわれています。
不育症の原因は様々であり、リスク因子を調べ、原因に応じた治療を行います。
●不育症のリスク因子
- 抗リン脂質抗体陽性
- 子宮の形体異常
- 甲状腺の異常
- 両親の染色体異常
- 免疫系の異常
- ホルモン異常、その他
- 凝固・線溶系の異常
(血が固まりやすくなる異常)
不育症の検査
不妊症と不育症では、根本的な原因が違います。当院では、不育症を専門とする医師が、不育症に関して系統立てた検査を行い、治療を行っていきます。
不育症の検査をおすすめする方
- 反復流産(2回)、習慣流産(3回以上)を経験されている。
- 妊娠10週以降に、1回でも子宮内で赤ちゃんが亡くなったことがある。
※ 早期流産を2回以上くりかえす場合は、必要に応じて流産児の染色体検査もおすすめします
不育症の検査内容
不育症の検査はさまざまなものがあるため、まず保険適用内の検査からはじめます。
不育症の検査では、健康状態、過去にかかったご家族やご自身の病気を把握したうえで、血液などの体質、子宮の状態、染色体異常などについて検査します。
それでも原因が判明しない場合には、保険は使えませんが、今の医学でできる範囲の検査を、ご希望に応じて行っていきます。
- 血液検査
- 凝固線溶系、抗リン脂質抗体をはじめとする自己抗体の有無、甲状腺機能、糖尿病の有無、卵巣ホルモンをはじめ各種ホルモン検査、夫婦染色体検査、同種免疫検査*(未保険)など異常頻度の高い項目の検査から行います。
- 画像診断,その他
- 子宮・卵管の形態検査、基礎体温のチェック、感染症の検査などを行います。
*同種免疫異常とは*
妊娠が維持されるには、母体の免疫系が胎児(胎児の半分は父(母体以外の異物)由来)を攻撃することなく受け入れることが必要ですが、何らかの因子で母体の免疫バランスが破綻し、結果胎児を異物とみなして攻撃するために、流産に至る可能性も考えられています。これを同種免疫異常といいます。
不育症の治療
不育症の治療として、次の治療法を原因に応じて組み合わせ、行なっていきます。
- 低用量アスピリン療法
- ヘパリン療法
- ステロイド療法
- ホルモン療法
- その他の原因に応じた治療
関連サイト
- 不育症研究 Fuiku-Labo
- URL:http://fuiku.jp/
- 厚生労働省の研究班として、不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究を行っています。その研究の現状や研究者などをご紹介いたします。